インターネットの検索結果に自分の知られたくない過去が!これってもう消せないの!?

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ンターネットの検索結果に自分の知られたくな


ある人が、インターネットの検索サービス会社グーグルに対して、自分のプライバシーに関する記事を載せたウェブサイトのURL情報を含む検索結果を、削除するよう求めました。これは、プライバシー権が侵害されたことを理由とした差止請求といわれるもので、プライバシー権とは、私生活に関する情報を公開されない自由とか、自分の情報をコントロールする権利と言われています。

Q:プライバシー権は認められないの?

最高裁判所は、検索結果を人々に提供することはグーグルの表現行為であり、インターネット社会で情報が流通するための基盤として大きな役割を果たしていると考え、検索結果の削除はグーグルの表現の自由を制約するとともに、検索結果の役割をも制約することに配慮しました。

つまり、個人のプライバシー権とグーグルの表現の自由が対立したため、どちらを尊重すべきかが問題になったためです。

そこで、最高裁判所は、自分のプライバシーに関する記事を公表されない法的利益と、そのような記事が掲載されたウェブサイトのURL情報を含む検索結果を提供する理由を支える諸事情とを天秤にかけて、前者(プライバシー権)が後者(表現の自由)を優越することが明らかな場合に、検索結果から当該URL情報を含む検索結果を削除するよう請求できるという基準を立てました。

Q:削除要請が認められる判断基準は?

最高裁判所は、

①事実の性質・内容
②事実が伝達される範囲
③事実を公表される者の社会的地位や影響力
④事実の公表により被る被害の程度
⑤記事の目的・意義
⑥記事掲載時からの社会的状況の変化等の事情

に注目しています。

今回、グーグルに対して検索結果の削除を求めた人は、一定期間犯罪をせずに民間企業で働いていて、社会に大きな影響を与えうる公的な地位にはついておらず(③)、事実を公表されることで平穏な生活を害される可能性がある(④)といえます。

ところが、今回問題になったプライバシーに関する事実というのが児童買春を理由に逮捕されたというものであり、社会的に非難され罰則で禁止されている犯罪に関する事実であり(①)、記事の目的はこのような犯罪に関する情報を社会に対して正しく伝えようという点にあり、公共の利益を図る目的であったといえます(⑤)。

また、記事が掲載された時から5年余り経過した今もなお社会状況に大きな変化はなく、児童買春で逮捕されたという事実は今なお公共の利害に関する事実であるといえます(⑥)。

そして、今回の検索結果は、削除要請者の居住する県の名称とその氏名を条件とした場合の検索結果の一部であり、プライバシーに関する事実が伝わる範囲はある程度限られているといえます(②)。

結論的には、最高裁判所は、削除要請者の事実を公表されない法的利益が、グーグルの表現の自由に優越することが明らかであるとはいえないので、検索結果から当該URL情報を含む検索結果を削除するよう請求できないと判断しました。

表現の自由の重要性やインターネット社会における検索結果提供の役割を考えると、個人のプライバシーはやや後退することが、「前者が後者を優越することが明らかな場合」という表現からうかがわれます。いずれにせよ、記事等に掲載された事実が多くの人の関心を呼ぶものか、多くの人が知るに値するようなものかが削除要請が認められるか否かの判断のポイントになりそうです。

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