家賃を半年滞納し支払う様子がないのに出て行かない。どうしたら?

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01 アパートを経営しています。

借主に対し、滞納している家賃を1週間(別に1週間じゃなくてもいいですが、これくらいの猶予があれば十分だと思います。)以内に一括で支払うよう請求するとともに、1週間以内にそれが支払われない場合は、賃貸借契約を解除する旨を内容証明郵便(配達証明付き)で通知します。
普通は、1週間以内に半年分の家賃を一括で支払うのは無理でしょうから、内容証明郵便が借主に配達されてから1週間が経過することによって賃貸借契約は解除によって終了してしまいます。賃貸借契約が終了すれば、貸主は、借主に対して、貸した建物の明渡しを求めることができるようになります。
後は、借主に対して、建物明渡請求訴訟を提起します。勝訴判決が確定すれば(確定しなくてもいい場合もあります。)、執行官という、裁判所にいる職員に頼むと(当然ですが、お金を払って頼まなければいけません。)、実力行使をして、家財と一緒に借主を建物から排除してくれます。

賃料不払いがあれば、貸主から一方的に契約解除できる?

法律上、契約の当事者の一方が債務を履行しない場合は、相手方が債務の履行を催告して、それから相当期間が経過すると、解除する権利(解除権)が発生するとされています。解除権が発生したら、後は、その権利を行使すればいいだけです。解除権の行使はどうすればいいかというと、借主に対して、貸主が「契約解除します」と言えば終わりです。でも、後になって、言った言わないの争いになるのは目に見えてますから、きちんと証拠が残るように、内容証明郵便を利用した方がいいです。最初に説明したように、賃料の催告と相当期間の経過と解除権の行使の3つをまとめて書くこともできます。たとえば、「すぐに賃料を支払え。もし1週間以内に賃料の支払がなければ解除する。」と書けばOKです。ただし、極めて特殊な事例ですが、賃料不払いがあっても、金額が少額で、過去に一回も延滞したことがなく、台風で建物が壊れたときには、貸主が修理してくれないので、借主が自費で修理して修理費用も貸主に請求しなかったというような事情があったため、解除が認められなかったことがありました。しかし、これくらい特別の事情でもない限り、賃料の不払いがあれば、賃貸借契約の解除は認められてしまうでしょう。

借主に建物明渡請求を提起したものの、今は借主以外の誰かが住んでいるようです。

今住んでいる人と話ができれば、名前とか、借主との関係などを聞いてみるべきです。借主の家族であれば、借主を被告とした判決によって、借主の家族に対しても強制執行することができます。また、借主から頼まれて留守番してる人も同様に、借主を被告とした判決によって、明渡しの強制執行をすることができます。しかし、判決が出た後になって、実は家族ではないとか、借主から、又借りしているんだなどと主張されると面倒なことになります。裁判が終わるまでの間に、借主から、その建物を借りて住み始めた人(転借人)には、借主に対する判決の効力が及ばないので、強制執行もできないからです。もし、裁判中に、他の誰かが住んでいることが分かったのであれば、裁判所に申し立てることによって、今住んでいる人に訴訟を引き受けさせる方法があります。そうすれば、建物明渡請求の判決の効力を、今住んでいる人にも及ぼすことができます。しかし、裁判中に、他の人がその建物に住んでいることに気づかないまま、元の借主に対する判決が出てしまうかもしれません。こんなときは、もうどうしようもありません。改めて、今住んでいる人を被告とする建物明渡請求の訴訟をすることになります。そうならないように、訴訟に先立ち、「占有移転禁止の仮処分」の申立をしておくとよいでしょう。「占有移転禁止の仮処分」をすると、裁判所の執行官が、その建物の中に、占有の移転を禁止すると書いた紙を貼り付けてくれます。この手続をやっておくと、後から別の人がその建物に住むようになっていても、元の借主に対する判決で、現在住んでいる人(その人が誰かを特定する必要もなくなる場合があります。)に対して、明渡しの強制執行をすることができるようになります。例えば、アパートに貸主が知らない人がよく出入りするなどがあれば、訴訟に先立ち占有移転禁止の仮処分を取得しておくとよいでしょう。

判決をもらったものの、借主が出て行ってくれない場合は?

建物明渡訴訟の判決をもとに、強制執行をしていきます。不動産の明渡しの強制執行は、裁判所の「執行官」主導で行われます。執行官とは、各地方裁判所に所属する裁判所職員で、裁判の執行などの事務を行う人です。
強制執行は、①申立②執行官による催告③強制執行という流れで行われます。
「執行官の催告」とは、執行官自ら対象不動産に出向くなどして、借主に「○年○月○日までに出ていってください」というように催告することです。借主がいてもいなくても、無理やり鍵をこじ開けさせたりして、強引に部屋の中に入り、○年○月○日(期限の翌日)○時に強制執行すると書いた紙を目立つ所に貼り付けておきます。基本的に1ヶ月後の日を期限として催告します。
その期限が到来しても、借主が出て行かない場合は、強制執行をしていくことになります(なお、執行官による催告までした場合は、借主が自分から引っ越して行ったとしても、強制執行の手続を完了させた方がいいです。後になって、借主から、たまたま外出していただけなのに、何で勝手に人の家に上がり込んでいるんだとか、高価な品物が置いてあったのに、何で勝手に処分したんだとか言われると、逆に、貸主の方が損害賠償を求められたり、犯罪者(住居侵入罪)になりかねないからです。)。強制執行の方法ですが、執行官や鍵屋さん、明渡し業者など力持ちの男性が大勢で現地に出向き、強制的に借主を対象不動産から追い出して、借主が建物の中に設置したエアコンや照明等の家具、壁紙等を全部撤去し、その他の物品も全部建物から運び出します(引っ越し屋さんみたいに丁寧に扱ってくれません。布団みたいなものなら平気で2階から投げ落としたりします。)。普通は、運び出された物品は、明渡し業者の方で処分してくれますが、場合によっては、倉庫で保管されることもあります。これらの強制執行にかかる費用は、法律上は、最終的に借主が負担することになりますが、実際に借主から取り立てることは難しいので、事実上、貸主が負担せざるを得ないことになります。

強制執行には、申立をした私自身も立ち会う必要がありますか。

立会が必要です。申立人が弁護士などの代理人を立てていない場合は、申立人自身が立ち会いますが、弁護士などの代理人を立てている場合は、代理人が立ち会えばよいことになっています。

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