未成年の子どもがスマホで課金,親は支払わないといけない?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
%e6%9c%aa%e6%88%90%e5%b9%b4%e3%81%ae%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%8c%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%9b%e3%81%a7%e8%aa%b2%e9%87%91

例えば、子どもが親に無断で親の端末を使ってスマホゲームで課金してしまったようなケースなどが考えられます。
法律上、未成年者が、親権者である父母の同意を得ないで行った法律行為は取消すことができます。取り消された場合、契約は、最初に遡って無効となりますが、事後的に親が同意したような場合には、取消すことができません。また、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産については、その目的の範囲内で、未成年者自身が自由に処分することができます。目的を定めないで処分を許した財産も、未成年者自身が自由に処分することができます。このような場合は、取消すことができません。典型的には、お小遣いやお年玉を使ったような場合です。

それ以外にも、いくつか取消しができない場合はありますが、もう一つ重要なものとしては、未成年者が詐術を使って契約をしたような場合には、取消すことができないというものがあります。
今回のケースでは、親の同意がなかったとして、取り消すことができると思われますが、おそらく、ゲームの画面には、年齢確認したり、未成年者の場合には親の同意を得るように促す表示がされており、お子さんは、20歳以上であると入力したり、親御さんの同意を得ないで、同意を得たとしてボタンを押している可能性が高く、そうすると、「詐術」を用いたとされ、取消すことができない可能性もあり得ます。

詐術に当たるかどうかの判断基準はありますか。

「詐術」に当たるかどうかは、未成年者の年齢や商品・サービスの性質、勧誘・広告の内容、具体的な画面表示の内容など、個別具体的な事情を考慮する必要がありますが、単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合や利用規約に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と記載してあるのみでは、詐術を用いたとは言えないでしょう。また、単に年齢確認画面や生年月日記入画面に虚偽の年齢や生年月日を入力したというだけでは、「詐術を用いた」とは断定できないと思います。
もちろん、取り消すことができる場合があるとはいえ、後で述べるように、契約を取り消しても支払義務まで消えるわけではありませんから、そのような状況にならないように、事前に、お子さんとよく話をして、子どもが利用する端末にはペアレンタルコントロールを設定するなどの対策をとっておいたほうがよいでしょう。

クレジットカード会社との関係はどうなるのですか。

未成年者が親に無断でやった契約だから取り消すことができるとしても、それは、未成年者とスマホゲーム業者との契約を取り消すことができるという意味です。無断で親の端末でスマホゲームをして遊んだ未成年者本人は、スマホゲーム業者に対し、利用料金を支払う義務がなくなるのですが、親名義のクレジットカードで課金していた場合、別の問題が発生してきます。
子どもが、親名義のクレジットカード情報を無断で使ってスマホゲームの課金をした場合、親は、クレジットカード会社からの請求書を見て初めて、子どもが勝手に課金したことを知るのが普通でしょう。ここで重要なのは、クレジットカードの請求の原因となった契約(未成年者がゲーム内でアイテムを購入した契約)と、クレジットカード会社とカード会員との会員契約とは別の契約だということです。未成年者が無断でやったことだとしてスマホゲーム業者との契約を取り消すことができたとしても、クレジットカード会員契約に基づく支払い義務まで消滅するわけではありません。一般的なクレジットカードの会員規約では、紛失、盗難等により、他人にカードを使用された場合であっても、「会員の家族、同居人等、会員の関係者がカードを使用したとき」は、カードの利用代金は会員が負担すると定められています。したがって、子どもが親のクレジットカードを無断で使用して課金した場合は、会員である親は、クレジットカード会社に対する支払義務を負ってしまうのです。なんとかして支払える金額ならいいのですが、親の支払い能力を超える金額を利用したため、支払いができなくなった場合、信用情報に延滞情報等が記録され(いわゆるブラックリストに載るという状態)、延滞解消後も、5年~10年程度の期間、クレジットカードの利用ができなくなったり、ローンを組むことができなくなったりします。そのような状態になると、ETCカードも使えないし、スマホ本体代金の分割払いもできません。クレジットカード会社に連絡して引き落としを待ってもらったり、スマホゲーム業者と交渉して、返金に応じてもらえればいいのですが、必ずしも、交渉がうまくいくとは限りません。どうしても支払えない場合は、自己破産もやむを得ないことになります。
クレジットカードの会員は、クレジットカードそのものや、暗証番号を、厳重に管理する義務があります。スマホにはクレジットカード情報が保存されている可能性もありますから、子どもにスマホを無断で使用されないよう管理する義務もあります。さらに、親は、自分の子どもがクレジットカードを不正に利用しないよう、直接監督することができる立場にもあります。スマホゲームからの高額請求による悲劇を避けるためにも、親としては、子どもに対して、日頃から、スマホやクレジットカードの危険性をきちんと教えておくことが大切でしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。