未成年って,刑事罰を受けない?

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未成年って,刑事罰を受けない?

日本の刑法で、14歳未満の行為は処罰しないと決められています。したがって、14歳未満のときにどんなに悪いことをしても、日本では、絶対に刑事罰を受けません。逆に、14歳以上で犯罪にあたる行為をした場合は、未成年者でも刑事罰を受けることがあります。
もし、犯罪にあたる行為をしたと疑われる者(「被疑者」といいます。)が14歳以上のときは、当然、その被疑者は警察の捜査の対象となります。必要があれば、逮捕されますし、やむを得ない場合には、警察の留置場に勾留されることもあります。逮捕とその後の勾留(警察署の留置場に入れられて、刑事から取調べを受けたりします。)についても、成人と同様に、最大23日間続く可能性もあります。もちろん、成人と同じように、弁護人を選任する権利もありますし、弁護人を選任する権利は憲法で認められた基本的人権ですから、親の承諾なんかなくても、弁護人を依頼できますし、国選弁護人であれば費用の心配をしなくてもいいです。なお、未成年者が逮捕された場合は、もっと悪い大人たちと一緒にならないように、留置場は一人部屋にするという配慮をしてくれます。このように、警察の捜査段階では、未成年者でも(14歳以上の場合)、成人と比べて大きな違いがあるわけではありません。しかし、警察の捜査が終わった後は、少年法という法律により、成人の場合と手続が大きく変わっていきます。
なお、14歳未満で犯罪にあたる行為をした者(「触法少年」といいます。)は、刑事罰を受けることはありませんが、児童福祉法に基づく措置が採られたり、少年審判による保護処分を受けることがあります。

未成年者(少年法では「少年」といいます。)が起こした刑事事件(少年事件)では、警察や検察官が捜査した結果、犯罪の疑いがあるとした事件は、いったんすべて家庭裁判所に送られます。成人の事件では、起訴猶予といって、犯罪をしたことが明らかにもかかわらず、犯人も反省しているし、被害弁償もしているからという理由で起訴されないことも多いのですが、少年事件では、被害者と示談が終わっていたとしても、全件、家庭裁判所に送られます。また、犯罪の疑いはないけれども、将来犯罪をしそうだから何らかの保護処分が必要だと思われる場合も、家庭裁判所に送られます。成人の場合には、犯罪の疑いもないのに、この人は将来犯罪をしそうだからというわけのわからない理由で裁判所に送られることは絶対にありませんから、これも、少年法の特殊なところです。少年の送致を受けた家庭裁判所では、その少年にどのような処分をするのが適切かどうか判断するため、事件についてだけでなく、その少年の成育歴とか家庭環境などの調査をします(両親や学校の先生から事情聴取をしたり、小学校1年生からの全部の通知表を学校から取り寄せたりします。)。また、この調査のために、原則として4週間以内の期間、少年が、「少年鑑別所」という施設に収容されることがあります。
調査の結果、家庭裁判所が、その少年には刑事処分が相当だと判断した場合には、家庭裁判所から検察官に事件を送致します。刑事手続で、「送致」と言えば、検察官から裁判所にするものですが、この場合は、逆に裁判所から検察官に送致するので、「逆送」と言ったりします。逆送を受けた検察官は、原則として、その少年を地方裁判所に起訴します。そうすると、少年でも、成人と同じように刑事裁判の被告人となって、最終的に有罪判決を受け、それが確定すると、刑事罰を受けることになります。
ただ、少年が逆送されるのは重大事件に限られますから、ほとんどの事件は、「少年審判」という手続に進むか、何もしないで終わること(審判不開始)になります。
少年審判の結果、やはり刑事処分が相当だとか、保護処分に付する必要がないとかいう場合を除いて、家庭裁判所は、その少年に対し、「保護処分」の決定をします。「保護処分」というのは、家庭裁判所に送られた少年の更生を目的として行なわれる少年法上の処分です。具体的には、「保護観察」、「児童自立支援施設又は児童養護施設への送致」、「少年院への送致」という3種類があります。これらは、少年の更生を目的とした処分ですから、事件の重大性よりも、その少年を更生させるために、少年院等へ収容して矯正教育する必要性(要保護性)があるかないかが重視されます。たとえば、両親がその少年の養育を拒否している場合だと、要保護性が高いので、軽微な事件であっても少年院(年齢が低いときは児童養護施設等)に送られることになりますし、両親(片親でもOK)がしっかりしていれば、自宅で生活しながら、定期的に担当の保護司を訪問して、その指導監督を受けるという処分(保護観察)になることが多いでしょう。

少年鑑別所と少年院は違うの?

少年鑑別所というのは、少年に対する処分を決めるため、一時的に収容し、少年の行動を観察するための施設です。具体的に何をするかというと、少年の資質や性格を判断するため(心身鑑別)、知能・心理テストや面接などを行なったり、日頃の行動を観察したりします。
よく混同されがちですが、これに対して少年院は、保護処分の「結果」として入れられる施設で、生活指導や教育、職業補導等を施すことで、非行性の矯正を目的とする施設です。

少年事件と成人事件と弁護はどう違うの?

手続と弁護士の立場が違います。
家庭裁判所で、審理のうえ、処分を決定する手続は、公判ではなく、「少年審判」と言い、非公開です。また、弁護士の立場も少し違っていて、警察で捜査中の段階では、成人の事件と同じく、「弁護人」という立場で活動しますが、その後、家庭裁判所に送致された後の少年審判では、弁護士は、「付添人」と呼ばれます。少年審判ではなく、刑事処分相当として逆送されたときは、また「弁護人」と呼ばれるようになります。
これらは呼び方が違うだけで、やることは変わりません。ただし、少年事件の場合は、弁護人であろうが、付添人であろうが、成人の弁護活動と同様のことをするだけでなく、「環境調整」という役割を果たします。これは、少年事件における弁護人・付添人の活動の特徴といえるでしょう。
「環境調整」とは、ひとことで言えば、少年と社会をつなぎ、少年の更生ができるような環境を整えるということです。具体的には、退学にならないように学校と話し合いをしたり、働き先を確保したりといった活動が挙げられます。
ほかにも、少年の家庭環境や交友関係の改善など、まさに少年を取り巻く環境を整えるわけです。これも、付添人の役割のひとつです。
少年は成人と異なり、人格を完成させる途中にあるため、今後、自分の置かれた環境や適切な教育によって更生することができる、という考えが根底にあります。
その考えがあるため、少年の弁護人・付添人と、成人の弁護人とで役割に違いがでてくるわけです。

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