120年ぶりの民法改正って、何が変わったの?

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120年ぶりの民法改正って、何が変わったの?

私たちの生活に身近な法律“民法”が改正されました。

改正前民法の多くは、約120年前の明治時代に作られましたが、この120年間で日本の社会経済は大きく変わりました。
また、民法は条文上の言葉が抽象的になっている部分も多くあるため、法律を使って紛争を解決している裁判官は、必要に応じて、条文に含まれる言葉の意味を明らかにしてきました。

民法を現代に合ったものにしよう、裁判所の判断を条文の中に分かりやすく書き込もうということで、今回の改正に至ったわけです。
今回は、法定利率の引き下げ、時効期間の変更、敷金返還に関する規定について説明します。

債権法改正って聞くけど、そもそも債権ってなに?

債権とは、ある人が、他の人に対して、特定の行為を請求する権利のことです。わかりやすくいえば、お金を貸した人が、お金を借りた人に対して、貸したお金を返すよう請求できる権利や、交通事故の被害者が、加害者に対して、損害を賠償するよう請求できる権利などがあります。

法定利率が引き下げられて具体的にどんな影響があるの?

まず、民法上の利率は、ある人が他の人に金銭の支払いを請求できる場合に、当事者間で利率を取り決めていなかったときに自動的に適用されます。
これまで、民法は5%という定まった利率を採用してきましたが、これを3%に引き下げて、さらに、3年ごとに、法定利率を見直すという変動制が採用されました。
利率が下がったことで利息が減ってしまうので、お金を貸している人にとっては、不利に働きます。

一方、交通事故の被害者に後遺症が残った場合、被害者にとって有利になります。交通事故で後遺症が残ると、当然、労働能力が下がってしまいます。これを補填するための賠償を逸失利益といって、事故前と同じくらい働けるようになるには数年かかると仮定して、労働能力が下がった分の賠償金をもらうことができます。

ただ、この賠償金の中から、中間利息というものが差し引かれることになっています。中間利息というのは、この賠償金を上手く運用すれば、利息という儲けが出るだろうから、その分は賠償金から差し引くということです。最高裁判所が、「この中間利息の計算は、法定利率による」と判断していますので、これまでは5%で計算して差し引かれていました。今回の改正で、5%から3%に法定利率が下がった分、保険会社が差し引く中間利息が減り、被害者がもらえる賠償金が増えることになります。

何が時効になる期間が変わったの?

消滅時効が完成までの期間が変わりました。消滅時効とは、ある時点から一定期間が経過すると権利が消えてしまうという制度です。

これまでは、権利を行使できる時から10年で時効にかかるとされていました。今回の改正ではこれに加えて、相手に請求できることを知った時から5年で権利が時効にかかるという規定が追加されました。権利を持っている人は、多くの場合、相手に請求できることを知っているはずなので、事実上、ほとんどの債権が5年で時効にかかることになります。

たとえば、飲み屋さんのツケなどは、短期消滅時効といって、これまで1年で時効になっていましたが、今回の改正で5年に伸びることになりました。ツケ払いにして1年支払わずに逃げるきることは、もうできなくなります。

敷金が全額返ってくるようになるの?

今回の改正があったからといって、敷金を全額返してもらえるようになったわけではなく、原状回復に必要なお金は敷金から差し引かれますし、未払いの賃料があれば、これも敷金から差し引かれます。

これは、以前からとられていた運用を明文化したものです。敷金は、どこまで返してもらえるのかが曖昧だったため、トラブルになることも多く、そのため裁判でよく争われ、裁判での解決基準は明確になっていったのですが、民法には規定がありませんでした。そこで、民法にきちんと規定することで、トラブルを未然に防ごうとしたのです。

改正法では、テレビ焼けやベッドを置いていた時の床の凹みなどの経年変化や生活で普通に使っていれば生じる損耗は、借主の原状回復義務にふくまれないことが規定されました。こういったものは、普通に使っていても通常生じる損耗なので、大家さんは敷金から差し引いたりすることは出来ません。

今回の民法改正が、私たちの生活にどのような変化をもたらすのか要注目です。

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